間違った練習には気を付けて!ゴルフ肘!

ゴルフというのは大変難しいスポーツだと聞いたことがあります。もちろん、他のスポーツも難しいものですが、ラウンド当日の身体の調子やクラブ選び、普段の練習の仕方などにもよってスコアが大きく変わっていき、いつでも同じことを同じように出来ることが必要である再現性のスポーツであるとも言われています。

身体の再現性を高めるためにあるいは、もっと飛距離を出すために、苦手を克服するためにとついつい練習し過ぎてしまうものですが、意外とケガが多いのがこの競技です。例えばショットやパターでは常に前かがみでいることで腰に負担を掛けてしまったり、ミスショットによって背中にプレッシャーがかかって痛みが出ることもあります。

あるいは同様にミスショットによって首すじをケガしたりと、一見すると年齢を重ねた方でも出来る簡単なスポーツと思われがちですが、プレースタイルによっては他のスポーツと同様に過酷なスポーツだといえると思います。

今回はそんなゴルフに関するケガの中でも特に多い、ゴルフ肘について記事を書いていこうと思います。それでは確認してまいりましょう。

ゴルフ肘とは?

すでにお分かりかとおもいますが、ゴルフの練習や試合をし過ぎることによって起こる、肘の内側の痛みが起きる疾患です。もちろん、ゴルフ特有というわけではなくて、ぞうきんを絞ったり、腕をよく使ったり、フライパンをよく振る料理人など肘をよく使う方々にも起こります。

あるいは反対に肘の内側ではなくて外側が痛むテニス肘と呼ばれる疾患もあり、日常生活でも肘はよく使われているといえますね。このゴルフ肘は正式名称を上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)と呼ばれているのですが、要するに肘の関節を使いすぎることによって炎症を起こしている状態ということです。

もう少し詳しく説明すると肘は三つの骨が合わさることで形成されているのですが、ゴルフ肘の場合は骨が問題なのではなく、肘を構成する筋肉が影響していてその一つが手首を曲げる橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)が肘とくっつく箇所、内側上顆(ないそくじょうか)が炎症を起こすことで痛みを発するので上腕骨内側上顆炎という呼ばれ方をします。

ここの部分が例えばオーバーワーク(使い過ぎ)によって、あるいは地面をたたいてしまったりした時の衝撃によって炎症を起こしてしまうことで痛みが発生するのです。

ゴルフ肘の改善方法は?

これは普段からしっかりと柔軟運動をしてから練習であり、ラウンドに臨むことが大切です。ゴルフは多くの場合、年齢を重ねてから始める方が多いので、練習場でも試合でも準備運動をせずにいきなりクラブを握って素振りを始める方をよく見かけますが、筋肉をほぐしてからでないと、ゴルフ肘に限らず、背中や腰、膝といった箇所を痛める原因になってしまいます。

また、例えば誰かと衝突したり、着地の時に捩じって捻挫してしまうなど、原因がわかりやすいケガと異なり、ゴルフ肘を始めとするオーバーワークによるスポーツ障害(スポーツによって起こるケガ)は日々、ためていく筋肉の疲労が問題になる場合が多いのです。

つまり、一日目に準備運動もクールダウンもせずに激しい練習をして、そのまま帰り、次の日もまた同様の練習方法を繰り返して、、、と続いていくと筋肉にはどんどんと疲労が蓄積されてしまい、硬くなっていきます。

すると硬くなった筋肉は縮んでいますから、どんどんと内側上顆(ないそくじょうか)を引っ張るようになってゴルフ肘を起こしやすくなるというわけです。

まとめ

今回はゴルファーに多い肘の疾患、ゴルフ肘について説明してまいりました。文中でも触れているように普段からのオーバーワークはもちろん、準備運動で身体を柔らかくして、クールダウンで次の日に疲労を残さないように出来るとゴルフ肘はある程度予防できることを忘れないでください。

それでは最後にゴルフ肘を予防できる肘のストレッチをご紹介して終わりたいと思います。このストレッチは短時間ですがキチンと橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)を伸ばすことができますので、おすすめですから、是非、実践してみてください。

ここでは2つのストレッチを紹介します。 いずれもやり始めは少し痛みがあるかもしれませんが、15秒ほど続けるのを1回とし、1日に3-4回してみることをおすすめします。

ストレッチその1

痛いほうの手を前方に肩の高さまで持ち上げます。手のひらを下にむけた状態で肘は伸ばします。反対の手で、痛いほうの手の甲を下向きに抑えます。すると前腕の一部の筋肉が伸びて、張りを感じると思います。この状態で15秒伸ばします。

ストレッチその2

痛いほうの手を前方に肩の高さまで持ち上げます。手のひらを上に向けた状態にします。反対の手で痛いほうの手の指先を下向きに抑えます。すると前腕の一部の筋肉が伸ばされて張りを感じると思います。この状態で15秒伸ばします。

引用:慢性通治療の専門医による 痛みと身体のQ&A