突然身体が動かない!ハンガーノックはケガの元!

人間の身体には意識・無意識は別にして命を維持するために様々な機能が備わっています。例えば熱中症もその一つ、熱中症は身体を冷やすために脳が汗をかかせ、その結果として体内の塩分濃度が下がって自発的脱水症状に陥ったり、やはり身体を冷やすために血液を皮膚に集め過ぎることによって脳に送られる血流が少なくなり、失神してしてしまう症状です。

あるいは恐怖を感じすぎても失神してしまうように脳は命を守るための防衛本能として意識を絶つという選択を時にします。今回ご紹介するハンガーノックもそういった防衛本能の一つで、中・長距離ランナーや自転車ランナー、トライアスロンなど持久力が必要なスポーツをしている選手に見られる症状です。

詳しくは後述していこうと思いますが、簡単に言えば体内の糖分が枯渇して意識を失ったり、身体を上手く動かせなくなってしまうもので、特に競技中に起こると落車や転倒の恐れがあるので注意が必要です。それでは詳しく見ていきましょう。

ハンガーノックとは?

私たちの身体には大変多くの栄養素が必要であり、それを補給するために日々食事を取っていることはどなたもご存知の事と思います。ハンガーノックはそれらの栄養分のうち、特に糖質(グリコーゲン)が枯渇することで冒頭のような症状が起こります。

グリコーゲンは主に炭水化物に多く含まれており、これを燃焼することで私たちは身体を動かすエネルギーを作っていて、一日の摂取量よりも少ない消費量であれば残りを脂肪として身体に貯めます。

ではどのようにしてハンガーノックが起こるかをご説明しましょう。まず運動を始めるとエネルギーに代わりやすい糖質から使用されていくわけですが、実は運動前に摂取した(食べた)グリコーゲンがそのまま使われているのではありません。

グリコーゲンは使わないと脂肪に代わるという記述をしましたが、すぐに脂肪に代わるわけではなく、初めの2~3日は筋肉、肝臓、血液などに蓄えられ、それぞれは筋グリコーゲン、肝グリコーゲンと呼ばれています。

そして運動を開始するとまずは筋グリコーゲンから使用され、次に血液、そして最後に肝グリコーゲンが使われていくのですが、肝臓機能が衰えてしまうと生命活動の維持が難しくなるため、限界を迎えると脳が身体を強制的に動けなくします。これがいわゆるハンガーノックというわけです。

しかし、ここで一つ疑問があると思います。よく脂肪を燃焼させるという言い方をするけれど、ハンガーノックの記述に脂肪が含まれないのはなぜ?という問題です。

脂肪は燃焼されるまでに時間がかかるから有酸素運動で燃焼させる方がいい、とダイエットについて調べたことがある方はご存知だと思いますが、脂肪は燃焼されるまでに時間がかかるだけでなく、脂肪を燃焼させるためには糖分という種火が必要になるのです。

その為、脂肪が燃焼する前にグリコーゲンが枯渇してしまえば脂肪を燃焼しきる前にハンガーノックが起こり、動けなくなってしまう。というわけです。

ハンガーノックを予防するには?

前述の通り、グリコーゲン2~3日前からためることが出来ますから、まずは試合前から計画的に糖分の摂取をすることが大切です。また試合当日も運動前にきちんと糖質を取り、試合中も計画的にエネルギー補給について考えを巡らしておきましょう。

ハンガーノック前兆がないといわれる通り、突然がくっとチカラが入らなくなりますし、一度起こってしまうとすぐに糖分を摂取しても半日は動くことが出来ず、試合はリタイアしなくてはならなくなります。

最近では試合前の糖分の摂取についてグリコーゲンローディングという考え方がありますので以下に紹介しようと思いますが、人の身体は全員同じではありませんから、色々と試してみて、ご自身に合った摂取方法を探してみてください。

グリコーゲン超回復という言葉を聞いたことがあるだろうか?

これは、一度筋グリコーゲンを大きく減少させることで、その後糖質を摂取した際に元々よりも多くのグリコーゲンを筋肉に貯め込むことが出来るという現象である。

古典的なグリコーゲンローディングではこの現象を応用し、まず初めの3日間は低糖質+強度の高いトレーニングでグリコーゲンを枯渇させ、3日前から高糖質食を摂取する。古典法のデメリットとして、グリコーゲンを大幅に減少させるため、初めの3日間は倦怠感、精神的苦痛、睡眠障害、あるいはトレーニングの質の低下などが生じる可能性があると言われている。アスリートにとって負担の多いこの古典的な手法は、現在ではあまり用いられないことが多い。

(中略)

3.”最新型”グリコーゲンローディング

更に最新型のグリコーゲンローディング法として、試合の2日前からのみ高糖質食を摂取するという手法が提案されている。よく鍛えられた持久性アスリートの骨格筋は糖を取り込む能力が高く、高糖質食摂取後24時間程度で筋グリコーゲンが最大まで回復するという特性を応用したものである。

引用:DNS ZONE

url: https://www.dnszone.jp/nutrition_guide/5-3