起こってしまったら適切な対処を!外傷性肩関節脱臼!

どういったケガでも起こそうとおもってわざとケガをする方はいらっしゃらないと思います。しかし、日常的によく使われる腰や膝などは仕事によっても腰痛や膝の痛みを発症したり、特にスポーツなどをしている方はケガに泣かされる時も多いのではないでしょうか。

今回はそういったケガの中でも特に若い方に気を付けていただきたい脱臼について記事を書いていきたいと思います。脱臼というとはめなおしてしまえば勝手に治っていく、骨折よりは重症でない、などのイメージが先行しがちですが、実はしっかりと治さないと脱臼を繰り返すようになり、クセになるとちょっとしたことでも脱臼を起こすようになります。

また脱臼は筋肉痛やその他のケガのように予防することがなかなか難しく、起こってしまった場合はキチンとした対処を行わなければなりません。それでは詳しく確認してまいりましょう。

外傷性肩関節脱臼とは?

難しい単語を並べていますが、ようは肩の関節が外れてしまう事です。外傷性というのは外からの衝撃によって起こる脱臼を指しているわけですが、ご存知のように肩は非常に可動域の大きな関節です。上下左右はもちろん、前後にも動かすことができ、人間にとって大切な関節といえるでしょう。

ではどうしてこれだけ自由に動かせるのかというと肩関節というのは上腕骨骨頭(こっとう)つまり二の腕の骨である上腕骨(じょうわんこつ)の先端が肩甲骨のくぼみである関節窩(かんせつか)にハマるようにして出来ています。

またそれらを覆うように棘上筋(きょくじょうきん)、三角筋などの筋肉や関節唇(かんせつしん)という軟骨、上腕二頭筋長頭腱、つまりチカラこぶの筋肉などが繋がるようにして形成されています。

そして骨頭と関節窩が外れて関節の外に骨がズレてしまうことが今回のテーマにもなっている脱臼というわけです。構造の話に少しもどりますが、上腕骨の先端は球状になっていて、ふとももの骨などもそうですが、こういった関節は球関節(きゅうかんせつ)と呼ばれています。

文字通り、球状になっているので自由に動かせますが、膝やヒジのように一定方向にしか曲がらない関節は強い力が加わると折れてしまいますが、肩関節は折れない代わりに外れてしまうわけです。

外傷性肩関節脱臼はなぜ繰り返す?

脱臼はやはりラグビー、アメフト、柔道、レスリング、格闘技など他人とのコンタクトが多いスポーツやスキー、スノボ、スケボーなど転倒を繰り返す競技をしている方に多いのですが、若い時に脱臼が起こると80~90%の確率で再発する(反復性脱臼)といわれているほど再発しやすいケガです。

特に初回の脱臼が若ければ若いほどに反復性脱臼(繰り返し起こる脱臼、つまりクセになる)にはかかりやすく、20歳以下では90%、20~25歳で75%、25~40歳で50%もの確率で起こるともいわれています。

その理由は先のように自由に動かせることにあります。骨の構造だけではなく関節包(かんせつほう)や関節唇(かんせつしん)という軟部組織、あるいは骨と骨がスムーズに動けるように接合面についている骨膜(こつまく)が緩くなる傾向にあるからです。

骨膜についての補足ですが、筋肉は腱(けん)を間に挟む形で骨にくっついています。筋肉の骨格模型を見たことがある方はご存知かもしれませんが、筋肉はそのまま骨にくっ付いているわけでなく間に腱を挟んでいます。けれど腱もまたそのままくっついているわけでなく骨と腱の間にある骨膜にくっついていて、この骨膜が炎症することで多くのスポーツ障害(スポーツに端を発するケガ)が生まれます。

また脱臼は冒頭にもあるように骨折などに比べると軽度なケガであると認識されることが多く、2~3日もすると痛みもなくなってしまうので放置されてしまう傾向にあり、そのままスポーツを続けてしまうのですが、クセになっていると関節が脆弱になっているので寝がえりを打ったり、ちょっとしたスポーツをしたり、もちろん激しいコンタクトによって方が外れやすくなってしまうのです。

ではなぜ若いうちの脱臼がそれだけ再発しやすいかというと、若い時には関節が柔らかく出来ているからです。人間の身体は加齢や疲れによって筋肉や関節の柔軟性を失って他のケガをしやすくなるのですが、若い時は関節が柔らかくケガをしにくい反面、動きがスムーズなので骨が滑りやすくなるというわけです。

まとめ

今回は若い時分に起こりやすい外傷性肩関節脱臼反復性脱臼について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、脱臼はケガとしては軽視されがちですし、痛みも長引かないことから自然に回復すると思われがちです。

しかし、先のように治すときはキチンと治すようにしないと再発を繰り返し、その度に肩の関節はズレたり炎症を繰り返して痛みを発するようになります。度重なる脱臼にお悩みの際はぜひ、当院にご相談ください。