指のしびれや痛みに注意!手根管症候群とは?

人体に関わる仕事をしていると本当に人の身体というのは不思議で大変に良く出来るものだと感じます。例えば私たちは意識することなく、手や足を動かして物をつかんだり、歩いたり走ったりといった事ができます。

また人間の身体には隅々まで神経が通っており、熱い冷たい、あるいは何かに触っているという感覚によって生活を豊かにしたり、危険を回避することが出来ますが、一方で精密であるがゆえに些細な疾患によって異変が生じたり、身体にしびれがあったり、動かなくなってしまったり、ということがあるのも事実です。

今回はそういった精密機械を狂わせ、主に中指や人差し指、または手のひらの半分に痛みやしびれといった症状を生み出す手根管症候群について記事を書いていきたいと思います。それでは確認してまいりましょう。

手根管症候群とは?

手根管症候群とは中指や人差し指に、原因不明のしびれが出て特に明け方にそれが強くなることが多い疾患で、主な原因は手首の末消神経が圧迫されることで手の指にしびれや痛みを感じ、40~60歳代女性に多いとされています。

もともと私たちの手首には「手根管」と呼ばれる骨と靭帯で囲まれたトンネル状のものがあり、この中を親指から薬指までの手の指の感覚をつかさどる「正中神経」という神経が通っているのですが、このトンネル内で何らかの原因により正中神経が圧迫されると感覚が鈍り、痺れや痛みが発生します。これが、「手根管症候群」。また正中神経には親指を動かす肉球部分の筋肉に指令を出す役割もあるため、圧迫されると親指の動きが制限されて物がつまみにくくなったり、親指と人差し指でマルを作る動作ができなくなったりもします。

手根管症候群の原因、つまりなぜ手根管内で正中神経が圧迫されてしまうのかについては、詳しいことはまだ分かっていません。ただ、仕事などで日常的に手を酷使している人が発症しやすいことから、同じ動作の繰り返しで手に負担をかけることが要因になっている可能性があります。また妊娠や出産、閉経などに伴って発症するケースも多く、逆にホルモン補充治療を受けている人の発症率は低いという報告があることから、女性ホルモンの減少が関係しているとも考えられています。

手根管症候群を放置しておくとどうなるの?

手根管症候群は人差し指や中指の痺れや痛みから始まりやがて親指や薬指にまでそれが広がっていくのですが、手を振ると症状が一時的に緩和することもあり、「とりあえず特別日常生活に支障はないから」という理由で放置してしまう人も少なくありません。しかしこれは単に痺れや痛み、使いづらさに徐々に慣れてしまっているだけで、症状は確実に進行しており、やがて神経の回復力が完全に失われてしまう可能性もあるため、放置するのは危険です。

手根管症候群を放置していると、前述の通り親指の動きが制限されてしまうため手を使った様々な動作が行いにくくなりますし、手の感覚機能が失われるため、例えば洗い物をしているときに落として割ってしまう、暗い場所で手の感覚だけで何かをしたり探したりすることができなくなってしまう、といった障害も現れます。また手の感覚がないということは、「熱い」「痛い」という感覚も低下するということですから、本来回避できるはずの火傷ケガを負ってしまう危険性もあります。

まとめ

今回は中年期に差し掛かった女性に多い手のひらの疾患、手根管症候群について記事を書いてまいりました。文中にもあるように手根管症候群の原因は定かになっていませんが、例えば腱のストレッチを行ってみたり、手の運動を抑制する器具の装着、手を使った仕事の軽減などによってある程度、症状が軽減されることが確認されています。

例えば以下にご紹介するのは手根管症候群の症状がある場合に使われるストレッチですが、神経の圧迫に周りにある組織や筋肉の柔軟性を保つことが大きな役割を持っていますので、症状がでて気になる方は是非、試してみてください。

手根管症候群で行うリハビリテーションを紹介します。

手首のストレッチ a

下の手の手首と指を曲げて、上の手で身体側へ引く。下の手の手首(背側)が伸張されるようなイメージを持ちましょう。

注意すること:

無理せず、痛みの無い範囲で行いましょう。

手首のストレッチ b

親指を曲げて、小指側へ手首を曲げる。親指側の手首が伸張されるようなイメージを持ちましょう。

注意すること:

無理せず、痛みの無い範囲で行いましょう。

腱のエクササイズ

まず、手首と指をまっすぐに伸ばした状態(基本姿勢)から始めましょう。 それぞれ5秒ずつ行いましょう。

1.第1・第2関節を伸ばし第3関節を曲げる。

2.指を曲げてこぶしをつくる。

3.手のひらを開いて、指を反らす。

4.第3関節を伸ばしたまま、第1・第2関節を曲げる。

引用:城内病院 HP

URL: https://jyonai-hp.sankenkai.or.jp/rehabilitation/rehabilitation-of-carpal-tunnel-syndrome-2/