私って低血圧じゃないの?更年期高血圧!

高血圧といわれるとみなさまどのようなイメージを持たれるでしょうか。ある方にとっては肥満になると高血圧になったり、塩分の多い食事を繰り返すと健康診断で高血圧と診断されたり、というイメージを持っている方が多いと思います。

あるいはいずれにしても血圧に関する悩みを抱えているのは男性が多く、自分はむしろ低血圧だから血圧の問題は無縁だ、と考える女性もいらっしゃると思います。しかし今回ご紹介する更年期高血圧はむしろ「痩せている」「女性」に多く現れる疾患です。

女性は男性に比べて見た目に変化がなくても、月経妊娠・出産、そして更年期など年代によって体内のホルモンバランスが急激に変化しやすい傾向があります。それでは更年期に近づいていくとどのようにして血圧が上がるようになるのか確認してまいりましょう。

女性のホルモンバランスについて

 

冒頭でも触れていますが、男性は20歳から死に至るまでほとんどホルモンバランスに変化はありません。対して女性は月経の前後、妊娠の前後、そして閉経する時などに激しいバランス変化が起こります。

例えば月経、詳しくは割愛させていただきますが、月経にはホルモンバランスが変化する期が四つあり、簡単に言えば月経前にはエストロゲンというホルモンが多く分泌され、月経が終了するとこのホルモンが減り、代わりにプロゲステロンというホルモンが分泌されることで妊娠を促すことが出来るのです。

また妊娠・出産時にも変化が起こります。例えば妊娠してから出産するまでにはさきほども登場したエストロゲンというホルモンが多く分泌されますが、出産してからは母乳を出す為に乳腺の発達を促すプロラクチンというホルモンが多く分泌されるようになります。

そして更年期に差し掛かるとエストロゲンの分泌量が減り、閉経が始まるようになっていきます。これらのホルモンバランスの変化によって、女性は情緒不安定になったり、感情の起伏が大きくなったりしてしまうのです。中には出産を機に産後うつなどを発症してしまう方も多いのでパートナーは注意が必要です。

更年期高血圧?なぜ起こる?

更年期高血圧が起きる一番の原因は先の通り、女性ホルモンが減少していくことで自律神経の働きに乱れが生じる事だといわれています。そして自律神経が乱れてしまう原因は身体がいままでと同じように活動が出来ない事をが理解できていないからです。

つまり更年期の女性の体内でエストロゲンの分泌が減ると脳はいつもよりもエストロゲンが出ていないのでもっと分泌するように指示を出すわけですが、身体の衰えからこれがかないません。そういったやり取りを繰り返すことで、自律神経をコントロールしている脳の視床下部が混乱を来してしまうのです。

ちなみに女性の高血圧は自分では気づいていないことが多く、健康診断やほかの疾患で病院に行った時に始めて気づくといったことがよくあります。ある統計によると50代の約四割60代のおよそ六割高血圧になっていて、決して自分には関係のないことではありません。

またこの章の冒頭でも触れていますが、痩せている女性は特に高血圧になりやすい傾向があります。その理由は筋肉量が少ないからです。身体に血液を循環させる役割を心臓が担っているという事は皆さまご存じと思いますが、実は心臓のポンプ機能だけでは下半身に廻った血液が心臓にまで戻ってくることはできません。

それを補助するのが下半身、特にふくらはぎにある筋肉でこの作用を筋ポンプ作用という風に呼びます。そのため、下半身の筋肉が‘衰えていくとこの筋ポンプ作用も上手く働かなくなり、心臓はより強い圧力で血液を巡らせなくてはならず、結果、高血圧になってしまうというわけです。

更年期高血圧の症状は?

高血圧の症状もさることながら更年期に入ると血圧が高くなくてもめまい、動悸、イライラ、頭痛、ほてりといった不調が起こるようになります。

また更年期高血圧には血圧が不安定で変わりやすいという特徴があり、動脈硬化、脳卒中や心筋梗塞といった突然襲ってくる血流に関する病にかかりやすくなってしまいます。また更年期に入ると原因のわからない不調イライラしたり、精神的に不安定になり、不眠症による睡眠不足に悩ませられる方も多くいらっしゃいます。

自身が高血圧であるという認識が出来ると改善の為に行動したり、普段からの行いに注意することができますが、不調をそのまま放置していると重症化する結果になってしまうので年齢を重ねるごとに毎年、健康診断をして自分の状態を把握できるようにしましょう。

まとめ

今回は更年期ホルモンバランスの乱れによって発症する更年期高血圧について記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、更年期の女性はいままでキチンと出来ていたホルモンの分泌、あるいは日常的な動作などが徐々に難しくなり精神的に混乱を来してしまうことがよくあります。

ご自身で状態を把握しておくことはもちろん、家族や身近な方々にも自分の現状を共有し、ささいな苛立ちで喧嘩してしまうような事態をなるべく回避できるようにしましょう。また、ご家族に更年期に差し掛かる年代の方がいらっしゃる場合、更年期の症状は身体の混乱が収まるまで治る事が無いことをよく理解してあげることが大切です。

老いは必ずやってくるものですが、対策を取る事で健やかな日常を過ごすこともできます。自分にも他人にも広い心が持てるようにしましょう。