その腰の痛み、ほんとにただの腰痛?椎間板ヘルニア!

腰に不安を抱えている方というのは、日本にとても多くいらっしゃいます。多くの場合、その不安は「一度、腰痛を経験したことがある」から起こるものですから、生涯で一度も腰痛を経験したことがない、という40代以上の方は大変珍しい存在です。

腰痛の原因は様々ですが、例えばずっと座った姿勢が続く長距離ドライバー、一度座ると休憩時間を除いて座り続けているデスクワーカー、仕事柄重たい荷物を常に持っている方、パワーリフティングのようにやはり、重たい重量を上げるスポーツがお好きな方。

もちろん、重たいものを持っていなくても激しく動くスポーツや、場合によっては健康のために始めたジョギングで腰を痛めてしまう方もいらっしゃいますし、もちろんギックリ腰などの疾患を経験したことで、またあの痛みがあるのでは?と心配になってしまう方もいらっしゃると思います。

このように腰痛の原因は日常生活のどこにでも潜んでいるわけですが、今回はそんな腰痛の原因の一つにもなる椎間板ヘルニアについて記事を書いていこうと思います。当記事を読まれてご自身にあてはまると感じた方は、予防のためにも専門家に相談してみるようにしましょう。それでは始めてまいりいます。

改めて椎間板ヘルニアとは?

実はたくさんの種類があるヘルニアですが、やはり冒頭のように腰、つまり腰部におこる腰部椎間板ヘルニアが最も有名ではないでしょうか。その理由は全体重の65%といわれる上半身と下半身の中心になり、人間が活動する際には必ず負荷のかかる部位だからといえるでしょう。

では、そもそも椎間板とは何のことだろうか?と思われる方のために補足しておきますが、椎間板とは主に背骨に存在し、背骨の一つ一つを繋ぐクッションのような役割をしているものです。

もちろん背骨にクッションが入っているわけはありませんから、その正体はゼリー状の髄核(ずいかく)を中心に、その周りを取り囲む線維輪(せんいりん)とで構成されています。

そして、この繊維輪から髄核が、あるいは椎間板そのものが背骨の骨(椎骨:ついこつ)からはみ出したり、位置がずれてしまうことを椎間板ヘルニアと呼びます。ちなみにヘルニアという言葉は医療用語で「本来あるべき位置にあるものが、ズレている」状態を指していますので、椎間板に限らず、臍ヘルニア〈でべそ〉、鼠径(そけい)ヘルニア〈脱腸)、あるいは椎間板の中でも腰部(こし)胸部(むね)頚部(くび)ヘルニアなど場所によってその呼び名が変わったり、様々な種類が存在します。

椎間板ヘルニアはなぜ起こる?

これには様々な理由が考えられますが、主に冒頭で紹介したように重たいものを立て続けにもって椎間板がつぶれてしまったり、長時間同じ姿勢でいることによって腰に負荷がかかり、その負荷に椎間板が耐えられなくなって起きたりもします。

ちなみにこの椎間板ヘルニアは若年層の方よりも圧倒的に年配の方に起こりやすいのですが、その理由は加齢によって背骨を支える筋肉が落ちたり、骨や椎間板そのものもどんどんと脆くなっていってしまうからです。

その理由は、先ほどもご紹介したように椎間板の中心はゼリーのようになっており、このゼリーに含まれる水分量が加齢とともに減少していき、クッション性が失われていくと共に繊維輪も弱体化していき、椎間板ヘルニアになりやすくなってしまうというわけです。

まとめと予防策

今回は椎間板ヘルニアの詳細について記事を書いてまいりました。冒頭にもあるように腰痛を引き起こす原因は数多くあり、およそ80%の腰痛は原因が不明とされることが多いのですが、椎間板ヘルニアは比較的、症状や治療法が確立されており、症状の改善ができる腰痛です。

しかも椎間板ヘルニアは、起こる人にはよく起こる、という特徴を持っています。これは本人の日常の習慣であったり、生まれながらの体質なども関係してくるものなので、一度、椎間板ヘルニアになったことがあるという方は姿勢や重たいものを持つ時は腰を曲げて持つのではなく、下半身を十分に使って持ち上げる、などの工夫をするようにしましょう。

それでは最後に椎間板ヘルニアに効くストレッチをご紹介して終わりたいと思います。いつまでも痛みのない生活をするためには日常的な運動が欠かせません。ぜひ、日常に運動を取り入れ、それでも痛みに困った時はお気軽にご相談ください。

体をひねる動き
あおむけに寝て、両ひざを立てる。
両肩が床から離れないようにして、両ひざをゆっくり真横に倒す。〈倒した状態で、10秒程静止。〉
左右それぞれ10回ずつ。

足をかかえる動き
仰向けになって両膝を曲げ、両手でゆっくりとかかえる。
腰やお尻につっぱりや痛みを感じたところで止め、そのまま5秒間保つ。〈ゆっくりと元に戻る。〉

腰を上げる動き
仰向けになって両膝を90度以上曲げ、両手をお尻の下に置く。
お尻をゆっくりと持ち上げ、手からお尻が離れたら5秒間止める。〈ゆっくりと元に戻る。〉
引用:北青山Dクリニック