子供の頃の悪癖も原因に!不正咬合の種類と原因

歯並び」と聞くと審美的な問題を連想する人も少なくありませんが、場合によっては咀嚼や発音にも大きな影響を及ぼすため、本人の健康や社会生活にも悪影響を起こしかねない問題となり得ます。このように歯の機能性という観点で見た場合に、正しく機能していない状態、特に上下の歯が正しくかみ合っていない状態のことを、「不正咬合」と呼びます。

今回はそんな歯並びの悪さについて不正咬合の種類やその原因などについて記事を書いていきたいと思います。日本では歯並びの悪さは愛嬌の一つとされ、それほど問題視されることもありませんが、口内の環境を考えると不正咬合はなるべく早く改善したい不調の一つです。

不正咬合が起きると虫歯や口臭の原因になることはもちろん、重症化していくと骨格や顔の歪みなども生み出してしまうことがありますから、特に幼少期にしやすい指しゃぶりや爪かじりなどは発見次第、是正できるようにしましょう。それでは記事を始めてまいります。

不正咬合の種類

不正咬合は、歯の生え方や顎の状態によって幾つかの種類に分けられます。

日本人に最も多い不正咬合と言われているのは、歯が生える方向がバラバラで歯と歯が重なり合ったり捻じれたりして凸凹として見える「叢生(そうせい)」です。いわゆる「乱杭歯」と呼ばれる歯並びで、日本では「可愛らしい」と言われている八重歯もこの叢生の1つです。

一般に「すきっ歯」と言われる歯と歯の間に隙間がある状態は、正しくは「空隙歯列(くうげきしれつ)」と言います。これは叢生とは逆に、顎に対して歯が小さすぎたり歯の数が不足したりすることで起こります。

上の前歯、あるいは上の歯全体が前に突き出している状態は、「上顎前突(じょうがくでんとつ)」と呼ばれます。つまり「出っ歯」のことで、これには歯の傾斜角度が問題となっている「歯性上顎前突」と、上下の顎の位置が問題となっている「骨格性上顎前突」の2種類があります。逆に下の歯や下顎全体が前に突き出しているいわゆる「受け口」は、「下顎前突(かがくぜんとつ)」と呼ばれます。

奥歯だけがかみ合っていて、前歯がかみ合わない「開咬」と呼ばれる不正咬合もあります。この状態だと前歯で噛むことができないため、常に奥歯に過度の負荷がかかってしまうことになります。

かみ合わせが深すぎて、噛んだ時に正面から見ると下の歯がほとんど見えなくなってしまう状態は、「過蓋咬合」と呼ばれます。これは「ディープバイト」とも呼ばれており、前歯で噛み切れない、顎関節症になりやすいといった悪影響を及ぼします。

不正咬合の原因

不正咬合の原因には、先天的なものと後天的なものがあります。先天的な原因としては、例えば顎の成長不足や過成長、歯が大き過ぎるあるいは小さ過ぎるといったことで、そのような骨格や歯の大きさなどは遺伝によるところが大きいため、言い換えると遺伝が原因、ということになります。

一方後天的なものとしては、指しゃぶりや唇噛み、爪かじりなどの悪習慣で、これらの癖が幼稚園や小学生になっても続いていると、上顎前突や開咬などに繋がります。また虫歯などで乳歯を予定より早く抜いた場合にも、歯が移動して叢生になってしまうことがあります。

まとめ

今回は一般的に歯並びが悪いとまとめられてしまう不正咬合について記事を書いてまいりました。文中にもあるように不正咬合は実は多くの種類があります。また日本では比較的、歯並びが悪くても愛らしい、かわいらしいとされ問題視されることは少ないですが、歯並びが悪いと歯磨きがしずらく虫歯の原因になったり、口がしっかりと閉じられませんので常に口が開いてしまい、やはり口内環境が悪くなります。

またこちらも文中にありますが、歯並びは先天的なものを除くと幼少期の習慣も大きく関係しており、ご自身のお子さんに下記のような悪習慣がある時はやらないように工夫するようにしましょう。

◆第1条  口を閉じて鼻で呼吸します。

口呼吸は上気道の炎症を惹起し,健康を害する上,上顎歯列狭窄・上顎前突等の原因になります。鼻疾患は放置せず,鼻呼吸が可能になるように治療することも重要です。

◆第2条  舌はいつも上顎につけます。

舌の位置・動きは上顎の形態的発育に大きく影響します。舌がしっかりと口蓋に接触することで上顎骨が側方に成長し,広く浅い口蓋,つまり広い口腔内が獲得されます。舌の先を上顎前歯の口蓋側歯肉(スポット)に軽く接触させ,舌全体が口蓋に接触していることで,上気道も拡がります。

◆第3条  食事は口を閉じて一口ずつ,左右でバランス良くしっかり噛みます。

咀嚼運動が咀嚼筋と,筋が付着している顎骨の発育を促します。その時に足底が接地していることも左右均等な咀嚼運動を促す点で重要です。

◆第4条  飲み込む時も口唇を閉じ,舌は上顎に沿わせます。

舌が口蓋に接触している正常嚥下では,舌筋の圧が上下顎歯列の外側への発育を促します。舌位の不正は開咬を生じます。

◆第5条  頬杖,あご杖をするのはやめます。

頬杖・あご杖により不適切な外力が顎骨にかかり,歯列の非対称な変形や下顎の偏位・交叉咬合をきたします。

引用:さとう歯科クリニック

URL; https://www.satoshika-senoo.com/newstopics/272/