脳細胞の暴走!?突然発症する癲癇(てんかん)とは!?
あまり想像したくないことですが、自分の子供や親しい友人が突然、意識を失い痙攣(けいれん)が止まらなくなったとしたら、皆様はどのように対処するでしょうか?
世の中には星の数ほどの病気がありますが、中には脳の異常興奮によって、上記のような症状が出てしまう疾患があります。これは癲癇(てんかん)と呼ばれるもので、1997年にポケモンショック、ポリゴンショックという名前で、メディアで大々的に取り上げられたことがあります。
光過敏性てんかんという診断結果だったそうですが、ポケモンを見ていた多くの子供にその症状が現れ、見ていた場面はポリゴンというポケモンがビームを発射し、画面が激しく明滅したシーンが原因だといわれています。
今回は誰にでも起こる可能性のある疾患「てんかん」について記事を書いてまいります。
てんかんってなに?
詳しくご説明しますと、てんかんというのは「発作をともなう痙攣症状全般」を指している言葉で冒頭の光過敏性てんかん、熱性けいれん、アルコール離脱けいれん(アルコール依存症の方の手が震える症状です)など様々な種類があります。
この原因は冒頭でも少しお話した通り、脳の異常興奮によるものです。私たちの脳には何十億、何百億のニューロンと呼ばれる神経細胞が存在しています、このニューロン同士が電気信号でやり取りをすることで、味覚や痛覚といった五感を感じたり、モノを考えたりすることがあります。
つまり、てんかんという疾患は人間だけでなく哺乳類を始めとした脳を持つ動物には全て起こり得る事象なのです。また人類の中でてんかんを持っている割合は100人に1~2人と言われており、決して自分とは関係のないものではありません。
てんかん(癲癇)の症状と種類は?
冒頭でもご紹介しましたが、てんかんの症状は主に意識を失うか、意識が混濁してぼーっとしてしまうことが挙げられます。重度の場合は意識を失ってから1分以上も痙攣が続いたり、意識を失わなくても目がチカチカしたり、手足をもぞもぞして落ち着かなくなったりと様々です。
また前述の通り、てんかんには種類が様々あるのですが、大別して原因がよくわかないものを「特発性てんかん」、脳に異常がみられるものを「症状性てんかん」と呼びます。
特に特発性てんかんは新生児から成人になるまでに症状が出やすく、ポリゴンショックで不調を訴えたのが小学生ばかりであったのはそういった理由からだと思います。一方、症状性てんかんは脳血管障害や頭をぶつけたりなどする脳外傷やアルツハイマーなどやはり脳に関わる疾患が原因で症状が現れたりします。
それから脳のどこで異常が起きているかも症状に影響を及ぼします。簡単にいえば脳の全体で発作が起きている状態を全般発作、一部だけに異常がみられる部分発作に分かれるのですが、すでに皆さんご存知の通り、脳は箇所によって働きが異なっています。
例えば物を考えたりする前頭葉や、記憶を司る海馬、言語・聴覚を司る側頭葉などがあり、それらの個所に不調が起きればそこの機能がマヒしてしまうというわけです。
目の前で発作を起こした人がいたら?
てんかんの発作は突然にやってきます。ポリゴンショックのように明確な原因がある場合もあれば、日常生活をおくっているだけで起こる場合もあります。例えば仕事をしていて、家事をしていて、映画をみていて、スポーツをしていて、などです。
もしも人が目の前で倒れる現場は非常にショッキングな体験だと思いますが、その時に起こす行動によって人の命を救える可能性もあります。てんかんで倒れた時の問題点は「受け身を取らずに倒れる」ことが大きいと思います。
その時に頭をぶつけて失血している時もあれば、変な風に倒れてしまって気道がふさがれている状態で倒れてしまうこともあるとおもいます。てんかんの発作は長くても10分程度で収まるのですが、脳に酸素が行き渡らない状態がそんなに続いてしまっては低酸素症に陥り、命を失ってしまうか、身体に麻痺などの後遺症が現れる可能性もあります。
ですから、もしも倒れている方を見かけたりした時は、救急車を呼ぶことよりも先に「気道の確保」をしてあげましょう。その行動一つでその方の未来は大きく可能性があるのです。
まとめ
今回は脳の異常興奮によって引き起こされる「てんかん」について記事を書いてまいりました。文中でも触れていますが、誰にでも、そしていつでも発作が起こる可能性があるこの疾患はご自身にもそして周りの誰かにも起こり得ます。
人が倒れている現場ではみなさん慌てていると思いますが、いち早く気道を確保してあげるようにしましょう。また、もしも自分はてんかん持ちであるという認識がある時は、倒れてしまう前に周りの人たちに周知してもらうように心掛けることも忘れないでください。