極度の「あがり症」?社交不安障害とは

学校の授業中に先生から答えるように指示されたり、人前で歌ったり、社会に出てからもプレゼンをしたり、と人間社会で生きていると人前でなにかをしなくてはいけない場面に遭遇するものです。

しかし、あがり症も行き過ぎれば立派な不調になってしまうことがあります。今回は人前でスピーチをするなど大勢の人の注目が集まるようなシーンで緊張してしまい、その過剰な不安や恐怖が息苦しさや動悸、震えなどの症状を引き起こす「社交不安障害」について記事を書いてまいります。

人前に出るのが苦手という方は多くいらっしゃると思いますが、この不調はその苦手な行為に対策をとらずにいることで悪化していき、重症化すると他の精神疾患を併発することもあります。その為、ご自分がストレス下に置かれた際に心のケアをしてあげられるように努力しましょう。それでは記事を始めてまいります。

社交不安障害とは

通常、緊張するシーンでも経験を繰り返すことで徐々に慣れていきますが、社交不安障害の場合何度経験しても慣れることはなく、むしろ毎回襲われる不安や恐れから逃れるため、緊張するシーンそのものを避けるようになります。

そのうえ例えば電話に出る、人と雑談するなど普通の人にとってはなんでもないようなことでも社交不安障害の人にとっては極度の緊張を感じるため、それら「緊張するシーン」を避けようとするあまり通勤、通学を含め外出そのものができなくなってしまい、社会的な行動が著しく阻害されてしまうのです。

社交不安障害には、特定の「苦手なシーン」でのみ精神的・身体的症状を発しそれゆえにその状況を避けようとする「パフォーマンス限局型社交不安障害」と、人と接すること全般において症状を発するためにあらゆる状況を避ける、つまり引きこもってしまう「全般型社交不安障害」の2種類があります。パフォーマンス限局型の人に多い「苦手なシーン」とは、例えば人前でスピーチをする、人目の多い場所で会食する、デートや合コンなど異性と交流する、など等。前述の通り普通の人にとってはなんでもないシーン、例えば電話に出る、人と雑談する、美容院に行く、人前で文字を書くといったことも、社交不安障害の人にとっては極度な緊張を強いられる「苦手なシーン」になり得ます。

社交不安障害の症状

社交不安障害では、これらの「緊張するシーン」に遭遇すると、動悸や息苦しさ、手足や声の震え、眩暈、吐き気、赤面、発汗、腹痛、ほてりやのぼせといった自律神経系の症状が現れます。これらを「パニック発作」と言いますが、このパニック発作を恐れるあまり、最初からそのようなシーンに遭遇しないよう行動を制限する「予期不安」と「回避行動」を伴うのが社交不安障害の特徴です。

特に「全般型」の場合、前述の通り人と接するあらゆるシーンに不安を感じ避けようとするため引きこもってしまい、うつ病などを併発するケースも少なくありません。一方「パフォーマンス限局型」は特定の状況だけを避けようとするため比較的軽度に思えるかもしれませんが、人によっては雑談や電話対応など些細な事でもパニック発作を起こすことがあるため、やはり社会生活が大きく阻害されてしまう障害であることに変わりないと言えるでしょう。

まとめ

今回は人前に出たり、何かしらのパフォーマンスをする際、言い知れぬ不安にかられてしまう社交不安障害について記事を書いてまいりました文中にもあるようにこの疾患は他の精神疾患を併発することも多く、あがり症と片づけないでしっかりと向き合う事をおすすめします。

また下記引用にもありますが、社交不安障害の原因の一つとして自分に自信が持てないという事が挙げられます。例えばプレゼンをする時は緊張がなくなるまでしっかりと練習をする、失敗しても大丈夫と思える環境を作る、などご自身にあった対策を考えるようにしましょう。

下記にはその一助となるようアドバイスを引用しましたので、確認してみてください。

できていることに目を向けるように意識しましょう

社交不安障害の方では、まず『自尊心の低下』といって、自分に自信を持つことができません。また、そのことが裏付けされてしまうような否定的な評価にさらされることを極端に恐れがちで、他人に良い印象を与えようと気を使いすぎて疲れてしまうことが多いです。できていないことやうまくいかないことに意識が向かいがちであるため、できていることに目を向けるように訓練をしていきましょう。

いわゆる内気で恥ずかしがり屋なだけでは正常な範囲です。しかし不安や恐怖が著しく強く対人関係がうまく結べなかったり、そうした場面を避けたりする結果、日常生活に困難をきたしている場合があります。この場合、ご本人は相当な苦痛を感じておられるため治療が必要です。また、うつ病や躁うつ病、アルコール依存症といったこころの病が併発しやすいことが知られており、十分な経過観察が必要と言えます。

引用:並木メンタルクリニック

社交不安障害の方とそのご家族へのアドバイス