乳酸のせいじゃない?筋肉疲労の原因は?
運動はもちろんのこと、仕事、家事、育児など身体を使う機会というのはどなたにもあるものです。日常的に行われている、あるいはそれほど激しいものでなければ肉体に影響を及ぼしませんが、例えば引っ越しや慣れないデスクワークなどを続けた日はキチンとした対処をしないと次の日に筋肉痛になったりしてしまいます。
今回はそんな筋肉の疲労に焦点を当てて、どのような成分が筋肉の疲労を生み出すのか、すこし詳しく確認できればと思います。普段あまり気にしない事ですが、身体に負荷をかけた時は仕事終わりのクールダウンやストレッチを行うと次の日、驚くほど効果があるものです。それでは記事を始めてまいります。
筋肉疲労と乳酸の関係は?
マラソンのような持続的な運動や筋トレなどの強度の高い運動をすると、使いすぎによって筋肉が疲労し本来の力を発揮することができなくなってしまいます。この状態を「筋肉疲労」と言いますが、実は現在のところこの筋肉疲労が起こる具体的なメカニズムについてハッキリとしたことは分かっていません。
少し以前には筋肉疲労は乳酸に原因があると考えられていました。そもそも筋肉を動かす(収縮させる)には筋肉に蓄えられているグリコーゲンを分解し、「アデノシン三リン酸(ATP)」と呼ばれるエネルギー源に合成しなおさなければならないのですが、この合成時に副産物としてできるのが乳酸。乳酸はその名の通り酸であるため、これが蓄積されると体が酸性に傾いて筋肉疲労を引き起こすと考えられていたのです。このため「乳酸=疲労物質」と認識されていたのですが、近年の研究で乳酸はむしろ筋肉疲労を防ぐ物質であることが分かってきました。
例えば体内のカリウムはナトリウムと協働し筋肉を正常に収縮するために欠かせない働きをするため、これが筋肉から漏れ出してしまうと筋収縮が阻害されて筋肉疲労に繋がります。乳酸はこのカリウムの漏れを阻害する作用があるため、筋肉疲労を防ぐ働きがあると考えられるのです。そのほか乳酸には血管新生や傷の修復を促したり、ミトコンドリア(エネルギー生成にかかわる細胞内小器官)で使われるエネルギー源として再利用されたり、また運動時の脳のエネルギー源にもなると考えられるため、スポーツをする際に大切な役割を果たしていると言えるのです。
筋肉疲労の原因は?
それでは何が筋肉疲労を引き起こすのかというと現在のところ様々な説が唱えられているのですが、その1つに、筋肉を継続的に、あるいは激しく動かすことでエネルギー源となっている筋グリコーゲンが足りなくなってしまうため、という説が挙げられています。また乳酸そのものではなく乳酸を生成する過程で発生する水素イオンが、体を酸性に傾けさせて筋肉を疲労させるのではないかとも言われています。
更に、筋肉を収縮させるためには細胞内にある「筋小胞体」からカルシウムが放出されなければならないのですが、筋トレのような高強度の運動時には乳酸解糖に際し大量のリン酸が作られるため、このリン酸がカルシウムと結合してしまいカルシウムの放出が阻害されてしまう、つまり筋肉疲労を引き起こしてしまうとも考えられています。
筋肉疲労はこれらの原因が重なって起こるというのが、現在の有力な説となっています。
まとめ
今回は普段あまり気にすることがない、筋肉疲労について記事を書いてまいりました。パソコンやスマホなど先進的な技術が多く出回る昨今ですが、実は私たちの身体のことはよくわかっていないことが多くあり、例えば腰痛の原因もその八割ほどはよくわかっていないといわれています。
しかし原因がわからずともそのつらさを改善することはできます、筋肉疲労にはまず初めに運動前の準備運動や疲労物質を流すためのクールダウンが必要不可欠です。準備運動は運動時にケガをしにくくすることはもちろん、特にクールダウンを行うか否かでは次の日の肉体疲労が全然ちがいますので、どうしても疎かにしてしまうという方は是非、試してみてください。
また運動以外でも筋肉疲労はパソコンの使い過ぎや立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ動作を繰り返していると起こりやすいものです。例えば腕や肩を仕事後にストレッチするのであれば以下のようなものをおすすめします。
手や腕の筋肉疲労を回復! 手首伸ばしストレッチ
手の平を上に向けて左腕を伸ばします。
指先を右手で引っ張って手首を曲げ、20〜30秒キープします。
甲を上に向けて左腕を伸ばします。
指先を右手で引っ張って手首を曲げ、20〜30秒キープします。
右手も同様に①〜④を行います。
あまりにも強い張りや使い過ぎによって熱を持った感じがある場合は、ストレッチをする前に、1分程度、手首や腕に保冷剤をあてるのもおすすめ。熱をとることで、より筋肉疲労が回復しすっきりします。
肩甲骨周りのコリも解消! 体側のストレッチ
イスに座り両足を大きく開きます。
両手を上に上げ、右手で左手をつかみます。
そのまま体を右側に傾けて伸ばします。そのまま20秒間キープします。前屈みにならないように注意!
反対側も同様に②〜③を行います。
引用:ハレバレ