若年の脱臼は必ず繰り返す?外傷性肩関節脱臼!

古傷が痛むという表現がありますが、若い時に繰り返し負った傷が冬場であったり、加齢によって再び痛みだすという事があります。これは気温や湿度にも影響があるのですが、それらによって痛覚神経が昂ったり、交感神経が刺激され血管の収縮が起こることで現れます。

また激しい接触のあるスポーツ選手やアクション俳優を生業としている方も若い時の無茶によって加齢に伴って身体が不自由になってしまったり、先ほどと同様に一見すると治っているのに些細なことで痛みがぶり返すといった事があります。

あるいは行動や動きのくせによってケガをしやすい箇所があったり、スポーツ選手にとっては選択する競技によって膝、腰、足、背中、股関節など負荷が集中することで関節炎や軟骨の減少、骨折などを起こしやすい部位も存在します。

今回のテーマになっている脱臼はラグビー、アメフト、柔道、レスリング、格闘技など他人とのコンタクトが多いスポーツやスキー、スノボ、スケボーなど転倒を繰り返す競技をしている方に多いケガの一つで若い時に脱臼が起こると80~90%の確率で再発するといわれています。それでは詳しく見ていきましょう。

外傷性肩脱臼とは?

外傷性(外からの衝撃)に限らず肩の関節が抜けてしまうことを肩関節脱臼という呼び方をします。普段、何気なく動かしている私たちの身体ですが、関節はその役割によって構造や可動域が異なっており、可動域が大きいほど構造は複雑になっていきます。

肩関節はその特徴が顕著で骨、筋肉、関節、靭帯、腱などが複雑に絡み合うように出来ているため、これだけ自由に動かすことが出来るのです。それらを詳しく説明しようとすると長くなってしまうので簡単に説明をします。

まずは二の腕の骨である上腕骨(じょうわんこつ)の先端、ここを上腕骨骨頭(こっとう)という呼び方をします。ここは球関節(きゅうかんせつ)という名前の通り、ボール状になっており、ここが肩甲骨のくぼみにハマっており、このくぼみを関節窩(かんせつか)と呼びます。

またそれらを覆うように棘上筋(きょくじょうきん)、三角筋などの筋肉や関節唇(かんせつしん)という軟骨、上腕二頭筋長頭腱などが存在しています。

そして肩関節脱臼というのは外部からの強い力(衝撃や転倒)によってこの骨頭と関節窩が外れて関節の外に骨がズレてしまうことを指しています。一度、脱臼を経験したことがある方はご存知だと思いますが、特に始めての脱臼時は動けないほどの激痛が伴いますので無理に動かさず、すぐに専門家に相談するようにしましょう。

脱臼が繰り返し起こる理由

肩関節は複雑な構造をしているという事は前述の通りですが、繰り返し起こる一番の原因は関節包(かんせつほう)や関節唇という軟部組織、あるいは骨と骨がスムーズに動けるように接合面についている骨膜(こつまく)が緩くなる、あるいは不完全に癒着してしまうことにあります。

こうなると一見すると問題なく動かせたり痛みが全くなくても関節が脆弱になっているので寝がえりを打ったり、ちょっとしたスポーツをしたり、もちろん激しいコンタクトによって方が外れやすくなる反復性脱臼(はんぷくせいだっきゅう)になるというわけです。

また冒頭でも触れていますが、初回の脱臼が若ければ若いほどに反復性脱臼にはかかりやすく、20歳以下では90%、20~25歳で75%、25~40歳で50%もの確率で起こるといわれています。では、なぜ若い方に再発しやすいかというとその理由は関節が「柔らかい」からです。

人間の身体は疲れたり、年齢を重ねることによって関節や筋肉、そして軟骨も柔軟性を失い、ケガをしやすくなっていきます。しかし反対に関節が柔らかければそれだけスムーズに動くことが出来るのでチカラが伝わりやすく、わかりやすくいえば骨が滑りやすいといえるのです。

まとめ

今回は外部からのチカラによって起こる肩の脱臼外傷性肩関節脱臼やそれによって起こる反復性脱臼について記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、若ければ若いほど反復性脱臼(脱臼ぐせ)は起こりやすく、一度、外れてしまった場合は注意が必要です。

では、何に注意をするかというと、キチンと治すことです。脱臼は一度、外れた骨を元の状態に戻してあげると動かすことが出来たり、炎症が収まると痛みも無くなっていき、そのまま完治したと思い込んでしまうケースが多くあります。

しかし、実際は先ほどの通り、関節が緩い状態になっているので再発しやすくなっていますから、キチンと専門家のアドバイスに従い、固定期間にはあまり動かさず安静にし、徐々にリハビリによって本来の動きを取り戻していくことが大切です。

繰り返す脱臼ももちろんですが、肩の痛み腰の痛み、など身体の不調があればお気軽に当院までご相談ください。