子供に多い朝の悩み!起立性調節障害とその対処法について
ある程度の年齢に差し掛かると子どもは知恵をつけてきて、どうにか学校を休んでみたり、仮病を使って勉強をサボってみたり、ということを考えてしまうことがあると思います。それは順調に成長している証でもあり、うれしい反面、サボってばかりいることは褒められることではありません。
しかし、特に小学校高学年から中学生にかけて、「朝なかなか起きられない」「目が覚めても頭痛や腹痛のせいでベッドから出られない」「午前中は気分が優れないけれど午後になると元気になる」といった症状がみられる場合、それは「起立性調節障害」になっていることが考えられます。
もしも最近、特にそういった話をする頻度が増えたり、病的にやる気が見られないという時は一度、この疾患を疑ってみてもよいかもしれません。それでは一緒に確認してまいりいましょう。
起立性調節障害とは
起立性調節障害は自律神経のバランスが乱れることで起こる障害で、そのような意味では「自律神経失調症」の1種と言って良いかもしれません。自律神経は体温調節や脈拍、ホルモン分泌など身体の様々な機能が正常に働くようコントロールしている司令塔であり、その働きの1つとして交感神経には血管を収縮させて血圧を上げる働きもあります。この働きが正常であれば立ち上がるときに下半身の血管を収縮させ重力に逆らって血液を心臓へと戻すことができるのですが、何らかの原因でこの交感神経の働きが弱くなっていると血液が心臓へ戻らず血圧が低下、心臓より上にある脳への血流も低下して眩暈なや前述のような症状を引き起こすのです。
自律神経のバランスが乱れる原因の1つはストレスですが、小学校高学年から中学生にかけてはまだ自分でストレスをうまくコントロールすることができず、かつ学校や友達、勉強などによるストレスを感じやすい時期であるため、丁度自律神経を乱しやすい年代と言えます。一方身体も精神もある程度成長している高校生以降になると、起立性調節障害の罹患者も減少する傾向にあります。
起立性調節障害の対処法
起立性調節障害は前述の通り自律神経失調症の1種であり、決して怠け癖が付いてしまったというわけではありません。むしろ周囲のサポートにより適切な治療を施せば、約1年後には約50%の人が、2~3年後には約80%の人が改善するとも言われています。逆に適切な治療を受けず重症化してしまうと大人になっても症状が残ってしまうことがあるため、軽症のうちに適切な対策を取ることが大切でしょう。
と言っても起立性調節障害の場合原因となっている自律神経に直接アプローチする方法はないため、自律神経を乱している要因を突き止めてこれを改善していくことが、「適切な治療法」となります。自律神経のバランスを乱す要因としては、前述のストレスの他に、不規則な生活や運動不足、水分不足などが挙げられます。それでストレスとなっている環境を変えてみる、解消法を試してみる、また正しい食生活や適度な運動を心掛ける、気温の高い場所を避けて水分補給をする、といったことが、起立性調節障害の改善に繋がるでしょう。
まとめ
今回は小中学生によくみられ自律神経の乱れなどによって起こる起立性調節障害について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、過去にはなまけ癖がついていると評価されたうつ病のように起立性調節障害も立派な精神の疾患です。
しかしながら、子供の時分では本当になまけ癖が付き始めてしまっている可能性も十分にありますから、どちらにしても早合点せずに疑わしい場合は専門家に相談するようにしましょう。また起立性調節障害は子どもだけでなく大人にも発症する場合があります。
例えば下記のような内容に心当たりがある方もやはり専門家に早めに相談するようにしましょう。
大人で起立性調節障害になりやすい人の特徴
<遺伝的要素や体質>
起立性調節障害の方の約半数に遺伝の可能性が指摘されています。また、自律神経の働きにも個人差があり、人により朝起き辛く、立ちくらみが起こりやすいということもあります。
<水分、塩分摂取不足>
水分と塩分は血圧の調整に大きく関わっており、これらが不足することで血管内を循環する血流が不足しやすく、立ちくらみなどの症状が起こりやすくなります。
※ 基礎疾患がある方は、場合によっては水分や塩分を制限する必要がありますので、自己判断で水分、塩分を過剰に摂取することはおすすめできません。医療機関で必ず相談しましょう。
<筋力(特に下肢)低下>
下肢の筋力は立位になる際に、重力の影響で下肢に溜った血液を心臓に押し戻すための重要なポンプ機能をはたしています。下肢の筋力が不足すると、下肢に溜った血液を心臓に押し戻すことができず、症状をきたしやすくなります。
<精神的なストレス>
真面目な人、精神的なストレスを受けやすい/溜め込みやすい人は、自律神経の乱れが起こりやすくなります。別の疾患が原因で自律神経不全の症状が見られる際には、以下の点にも注意が必要です。
https://odod.or.jp/kiritsusei-otona/od-633/
引用:起立性調節障害改善協会